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街が人が神輿が動く!【その壱】
- 2017/7/1
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―中心部商店街 夏まつり―
真夏の熱気をさらにアツくする、祭りの季節がやってきた! えびす神社、和霊神社、野中神社合同の伝統ある「一番町三社まつり」、クリスロード商店街と名掛丁商店街が協力して行う「三瀧山不動院奉納夏まつり」、子どもたちが主役の「やなぎまち夏まつり」、そして8月開催の一番町四丁目商店街「金蛇水神社祭典」と、中心部商店街では毎週のように夏祭りが目白押しなのだ。
そこで今回は、長きにわたり、地域を結束させ続いてきた祭りに秘められた、”人情物語”をご紹介!
一番町三社まつり
(順路/一番町スクウェア⇒一番町四丁目三越⇒サンモール金港堂⇒中央通⇒名掛丁⇒中央通⇒一番町スクウェア「揉み」)
会場/中心部商店街、一番町通、中央通 問い合わせ/一番町一番街商店街振興組合 ☎022-265-5416
クライマックスの“揉み”は必見!
和霊神社(一番町一番街商店街)、野中神社(サンモール商店街)、えびす神社(おおまち商店街)の3町合同で行われるのが「一番町三社まつり」。もともとは、各町内で行われてきた祭りを、38年前から合同で行うようになったという。
宵祭りでは、各町内でイベントが行われ、本祭りでは、各町内の神社から神輿が出て、一番町スクエアから一番町三越方面、そこから折り返してサンモールから中央通り名掛丁方面、そして折り返して一番町までを渡御する。今年は、猿田彦(天狗)と出羽三山の山伏も登場し、祭りに彩を添える。
「エイサー」「ソーレ」の威勢の良い掛け声と熱狂的な雰囲気は、買い物客や観光客をも巻き込んで、毎年大盛り上がり。見どころは、渡御から戻ってきた各町の神輿3基が一番町スクエアでぶつかり合う”揉み”。このクライマックスは、一番町三社まつりのハイライトとして、毎年多くの人を魅了している。
商店街アーケードを練り歩く神輿を、笹かまぼこ・きゅうりの漬物・アイククリーム・果物などを用意してお迎えするのが各商店街の接待所。担ぎ手はここで休憩を取り喉を潤す。中心部商店街の熱い絆を感じられる場所である。
さてここからは、一番町三社まつりを動かしている、3つの神社と商店街の青年会・青年部の方々のお話です。
さすがみなさん、まつりに対する情熱はやはり熱くて厚い!
【和霊神社/一番町一番街商店街】
将来まちを盛り上げてくれる
人材も育てていきたい
今年、一番町一番街商店街青年会の会長となった上野啓介さん。一番町三社まつりに参加したのは、10年ほど前のことだったという。「今とは別の会社に勤務していて、お手伝いでお神輿をかつぎました。丸太で肩を叩かれているようで、内出血もしたのですが(笑)、まわりを見ると、みんなニコニコしてる。僕自身もものすごい“やり切った感”を感じましたね」と、当時を振り返る。
ここ数年は、宵祭りの日に近郊の小学校の子どもたちに通りを提供しているそうで「東二番丁小学校は太鼓演奏を、そしてウルスラ英智学院小学校の子どもたちはすずめ踊りを披露してくれています。やっぱり、子どもの声がある町は明るいですし、なにより、子どもたちが“小さいころ、あそこで踊ったよね、遊んだよね”となって、このまちを将来盛り上げてくれる人材になってもらえればうれしいですよね」と目を細めた。
また、宵祭りでは、お神輿をFORUS前で組み立て、有志による練習を行っているそうだ。「FORUSから一番町スクエアまでを試し担ぎするのですが、このときは街行く人を呼び込んで一緒に担いでもらったりするんです。毎年、外国人の方に入ってもらったり、もりあがるんですよ」と教えてくれた。
そして「よく東京の三社祭りと比較されることもあるのですが、祭りにかける本気度は負けていません。そこにかける思いに拍手をいただければうれしいです」。
今年も商売繁盛、五穀豊穣、さまざまな願いを込めた神輿が町中を行く―。
【野中神社/サンモール一番町商店街】
ラストの“揉み”では、
最後の力を振り絞ります
サンモール商店街の青年部では、宵祭りのイベントを毎年仕切っている。
部長の菅原剛志さんは「ここ10年ほど、『サンモールコンサート』という形で、みなさんに音楽を楽しんでいただいています。ヤマハ音楽教室の生徒さんによる演奏や100名ほどが参加するフラダンス、東北大学応援団のパフォーマンスなど、多彩な顔ぶれが今年も登場します。みなさん2回ずつのステージになりますので、1回目を見逃しても大丈夫! そして、ビール祭りも開催しますので、ビールを片手にステージを楽しんでみてはいかがでしょう」と教えてくれた。
菅原さんは「そういえば、小学生のころ、ブラスバンドでこの辺を練り歩いたのを覚えていますね。お神輿はもう20年くらいかついでいますけれど、仲間との絆は本当に深まりましたね。ただ、今は仕切りという立場上、とにかく安全面に細心の注意を払って、事故なく終えることが一番の命題です」と。
そして「三社祭りの中で、野中神社は唯一いつでも自由にお参りができる神社。私たちとしても町のランドマークとしてもっともっと盛り上げていきたいと思っています。ですので、縁結び、商売繁盛の野中神社のお神輿をぜひ見に来てください」と。
赤い鳥居が迎えてくれるサンモール一番町に鎮座する「野中神社」
見どころはもちろん、本祭りラストの“揉み”だ。「あの迫力は必見です。僕らも、最後の力を振り絞ってがんばりますよ」と、意気込みをみせてくれた。
【えびす神社/おおまち商店街】
今年はお神輿に参加して
お祭りを楽しんでみては?
おおまち商店街振興組合理事で青年部長の山田高太郎さんは、生まれも育ちもおおまちという、生粋の“おおまちっ子”。「僕が子どものころは、三瀧山のお祭りに参加させていただいた思い出があるんですよね。でも、今こうして生まれ育った町のお祭りにかかわることができているというのは、幸せなことですね」と、しみじみ。
神輿渡御前日は、藤崎前でお神輿を組み立てるところから始まる。「すべてを自分たちで行うのが、昔からの習わしです。渡御当日は、合同出発前に仙台木遣りの披露もありますよ」。
山田さんは、渡御を統率する“おさえ”という大事な役目を負っている。「各神社の前に差し掛かると、それぞれの神様に敬意を表する“差し”を行います。これは、江戸神輿からの風習なんですよ」と。
おおまち商店街の神輿で、最も特徴的なのは、一般市民も参加が可能だということ。「2週間前までの事前申し込みになりますが、商店街事務所にお申込みいただければ、当日法被も足袋もお貸しします。お弁当が出る直会にもご参加いただけますので、今年は違った立場でお祭りを楽しんではいかがでしょう」。
さらに山田さんは「大町は、伊達政宗公の時代からの御譜代町。その歴史あるまちのお祭りで、うちは商売繁盛、健康ご多幸にご利益のあるえびす神社のお神輿が出るわけです。この祭りを絶やすことなく、商売繁盛、町おこしを未来につないでいきたいですね」と、力強く語ってくれた。