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吸いつくように刃先が入る、感動的な切れ味を叶える技【Web深堀】
- 2016/2/26
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- 一番町四丁目商店街
包丁やハサミ、ペティナイフなど、生活に欠かせない手仕事道具を扱う「加藤義永刃物店」。包丁だけでも牛刀、刺身包丁、家庭用包丁など数千本がそろう、プロ御用達の専門店だ。店を訪ねると、シャリシャリと包丁を研ぐ小気味の良い音が聞こえてくる。「包丁を研ぐのは難しいですか? と聞かれることがあるけれどもね、それは、重大な誤解なんですよ」と話すのは、店主の加藤義靖さんだ。

「包丁は毎日使うものだからちゃんと手間をかけてあげなくちゃ。洗ったあとはすぐに拭いてね」と教えてくれた代表の加藤義靖さん。昭和11年からこの場所で店を続けている
「今の若い人は知らないかもしれないけれどね、昔はどこの家でも研いでいたんですよ。だから誰でもできるんですよ。でもね、どんなにいい鋼の包丁を使っても、研いであげなかったら意味がない。さぁ、ちょっとやってみて」。そう差し出された包丁で、大根を切ってみる。研いでいない包丁も切れ味はいいが、加藤さんが研いだ包丁を大根に当てると、刃が吸い込まれていくようにスッと入っていく。まさに、鳥肌ものの体験だ。

包丁の向きを変えながら荒砥・仕上げ砥で研ぐ手つきに年季を感じる。研いだあとの切れ味はなんと表現したら良いのやら・・・力を入れなくても大根に刃が吸い込まれていく感じだ
「ちゃんとした包丁はね、30年も50年ももつものなんですよ。うちの包丁は“義永”という名入りですから、家で研げないというのなら持ってきてもらえれば研ぎますよ。刃こぼれすれば修理もしますしね。だから、長い目でみたらそんなに高いものじゃあないでしょう?」。

店名の「義永」の名が品質を物語る義永作の包丁
かつて仙台には鍛冶屋が並び、「八幡町や長町、原町とか街道筋にはね、数十件ちかくあったんですよ。うちももともとは鍛冶屋だったしね。でも、残念ながら仙台はもう刃物の生産都市ではなくなってしまったからね。だから今は、岐阜県の関や大阪府の堺、福井の越前に“こういうものを作ってほしい”とお願いして作ってもらっているんですよ」。

昔鍛冶屋だったことを思わせる人形が目を引く。店内にはさまざまな道具が並んでいる
加藤さんは「鍛冶屋から出た刃物を研ぎ師が研いで、それをさらに料理人が研いでその包丁が完成する。うちみたいな商売は、デパートやホームセンターと同じでは意味がないからね」。この場所で80年、数万本の包丁を研いできた加藤さんの手仕事を信頼して、今日も店にはプロの料理人から一般の人まで、多くの人が訪れるのだ。

店内には2,000~3,000種類の包丁があるとのこと。
ダマスカス鋼を30層くらい重ねて作られているダマスカス包丁が錆びにくく切れ味が良いと最近の人気。木目状の模様が特徴だ

いつも店頭でお客様に丁寧にアドバイスをしてくれる加藤さん
INFORMATION

- 店名
- 加藤義永刃物店
- 住所
- 仙台市青葉区一番町四丁目5-8
- 営業時間
- 9:30~19:30
- 休業日
- 第2・第4木曜
- TEL
- 022-222-5346