- Home
- machinaviPRESSの深掘版
- 御年87歳の今もメガネ要らず!小さなテイラーの細腕繁盛記【Web深堀】
御年87歳の今もメガネ要らず!小さなテイラーの細腕繁盛記【Web深堀】
- 2016/2/26
- machinaviPRESSの深掘版
- 一番町四丁目商店街
戦後のバラックの名残を今に伝えるような、小さな飲食店が立ち並ぶ東一市場。ここで60年以上にわたって丸八洋裁店を営んでいるのが、高橋智佐子さん。「私が仙台に来たのは、昭和23年。結婚がきっかけだったんです。主人もテイラーで店をもっていましたから、お互い忙しかったですよ。私は、それこそ子どもを背負いながらお客さまのお相手をしたり、ミシン掛けをしていましたっけね」と、当時を懐かしむ。
38年前にご主人が他界してからは、たったひとりで店を切り盛りしてきた。「こんな小さな店ですけれどもね、一番町という土地柄、いろいろなお客さまに可愛がってもらいました。以前はオーダーもやっていたんですけれど、今は生地屋さんもなくなってしまって、オーダーメイドで洋服を作る人がいなくなっちゃったんです。あとはね、8年ほど前に腰の圧迫骨折をしてしまって、重いものが持てないの。だから、今はお直し専門。ジーパンやズボンの丈詰めもあるし、ウエスト直しに、昔のスーツのパットを外して肩を詰めてほしい…とか。もう本当、いろいろですね。
革製品以外のものはなんでも引き受けるつもりだけど、中には“ほかのところで直したら変になっちゃったから助けて”って言って持ってくる方がいるのね。直せそうなら引き受けるけれど、そうでない場合はお断りすることもあるんです」。
御年87歳の高橋さんだが「今でもメガネはいらないんですよ。針に糸を通すのだって、スッとできるのよ。かけるとかえって邪魔なのよね(笑)。本当は、もう引退してもいい歳なんでしょうけれど、やっぱり私は仕事が好きなの。辞めるって考えただけで寂しい。それに、長年培ってきたカンが大事なのよね、この仕事には。忙しい時にはお嫁さんにも手伝ってもらってね。体が動く限り、ずっと続けていきたいですよね」。そう言って高橋さんは、小さな体を丸めるようにして、ミシンに向かうのだった。
INFORMATION
- 店名
- 丸八洋裁店
- 住所
- 仙台市青葉区一番町四丁目5-18
- 営業時間
- 11:00~18:00
- 休業日
- 土日祝
- TEL
- 022-223-7790