本屋の火を絶やさないために、やれることを
- 2017/3/10
- 商店街のこと, 老舗の横顔
- サンモール一番町商店
老舗といわれる店の暖簾をくぐるとなぜかホッとする。 仙台商人としての自負とお客様への何気ない心遣いがどこからか伝わってくる。そんな気がする。 マーブルロードおおまち商店街とサンモール一番町商店街には、そんな老舗の気概を感じさせる名店が数多く残っている。 仙台の商店街をけん引する老舗の中の老舗を訪ね歩いてはいかがかな?
老舗書店 金港堂
学都仙台の“まちの本屋さん”として、古くから愛されている「金港堂」。仙台での創業は明治43年(1910)。初代の藤原佐吉が横浜から東京に移った教科書出版社・金港堂からのれん分けをしてもらい、店を構えたのがはじまりだ。

日本書店商業組合連合会副会長でもある藤原社長。本という文化への熱い情熱を語る

初代、東京・金港堂が発行した明治21年当時の教科書。旧かなづかいの文字から懐かしさとともに歴史を感じる ※1:学校の教科書採用をめぐる教科書会社と教科書採用担当者との間の贈収賄事件
4代目にして現社長の藤原直さんは「明治35年に『教書疑獄事件』が起こって、教科書は国定になってしまった。それで教科書出版を主としていた金港堂は窮地に陥り、初代の佐吉にのれん分けを許した。こうして佐吉は、『藤原金港堂』として仙台に開業しました」。

「小学校用国定教科書販売所」の看板を大きく掲げている大正4年当時の店舗

「明治43年11月3日開店」告知の河北新報広告
戦後、現在の地に移転し、時を同じくして、金港堂に大きなビジネスチャンスが訪れた。「昭和24年(1949)に学制改革がありまして。その時に生徒手帳を発行し始めたんです。それが売れて、全国のいろいろなところに展開しました」。なんと、学校から交付され多くの生徒が持っていた生徒手帳を作ったのは、金港堂だったのだ!「その生徒手帳以降、今でも継続して出版業を行っています。ほとんどが持ちこみの企画で、地元に根差した作品が多いですね。そういった作品のお手伝いをするのも金港堂の役目と思っています」。

「金港堂」の名前の由来は、「金の港」横浜の地からきている
周知の通り、出版不況と言われる昨今において、市井の書店が置かれる状況も厳しい。「それでも、本屋の火を絶やさないために、本の専門店としてやれることをやっていきますよ」と、藤原さんは力強く語った。
INFORMATION

- 店名
- 金港堂
- 住所
- 青葉区一番町二丁目3-26
- 営業時間
- 9:15〜19:00
- 休業日
- なし
- TEL
- 022-225-6521