仙台駅を中心に広がる商店街の顔はさまざま。
商業ビルが立ち並び流行の最先端を垣間見ることができる仙台駅前商店街。そして仙台駅から真っ直ぐに伸びるアーケードは、ハピナ名掛丁商店街とクリスロード商店街。古くからの暖簾をかまえる老舗とナショナルショップが共存し、多くの人々が行きかう買い物ストリートである。
店の佇まいを眺めながら歩いてみると、新しさの中に歴史を感じることができるエリアである。
和人形・和雑貨の店 三好堂
明治42年(1909)、「三好堂」は造花業として創業。現在、その暖簾を守るのは、4代目の三好一夫さんだ。「曾祖母は手先がとても器用だったようで、作って売るだけでなく、人に教えたりもしていたようです。祖父の代になって、商売が大きくなりましたが、空襲ですべて失ってしまいました」。終戦後、同業者が次々と商売をたたむ中、「三好堂」は再興をはたした。そして、「私が生まれた年に、父が五月人形とひな人形の扱いを始めました。初節句のお祝いでいただいたのをきっかけに、当時仙台で扱うお店が少なかったことから思いついたようです(笑)」。
時代の流れとともに、冠婚葬祭が自宅から会館へと移っていったことで、花環の需要は少なくなっていった。「10年ほど前に、花環の製造販売は終了しました。そして6年前には土地を有効活用しようと店を大きくリニューアルしました」。アーケードに面した店舗は、雰囲気のある通路を抜けた奥に移動し、蔵のような厳かなたたずまいを見せる。そしてそこには、日本の伝統美と技を伝える品々がずらりと並んでいる。「これからも、メイド・イン・ジャパンの優れたものを提供していきたいです」。そう微笑む三好さんに、老舗の矜持を見た。
INFORMATION
- 店名
- 三好堂
- 住所
- 青葉区中央二丁目2-29
- 営業時間
- 10:00〜18:00
- 休業日
- 不定休
- TEL
- 022-261-2361